夏場は各地で音楽フェスが盛んでしたね。
皆さんは普段どのような音楽に触れていますか?
患者さんとのふとした会話の中で、「先生はどんな音楽を聴くんですか?」と聞かれることがありました。
私はいつも、とりあえず「オルタナティブロック全般、、ですね」等と答えています。正直に言えば、音楽理論やジャンルの細かい分類を語れるほど詳しいわけでは全くありません。でも、振り返ればずっと音楽と一緒に生きてきた気もします。
オルタナティブロック(既存の枠に捉われない自由な音楽、そうであろうと勝手に解釈している音楽たち)は、私にとって「答えをくれる音楽」ではなく「一緒に考えてくれる音楽」です。心の中の揺らぎを否定せず、むしろそれを大切な個性として肯定してくれる。そんな感覚が、医療者として人と向き合うときにも、少しずつ影響してきたのかもしれません。
音楽に夢中になった90年代後半、ロック音楽は世界的に静かな変革期を迎えていたと思います。
Radioheadの『OK Computer』(1997)は、その変革の象徴でした。個人的にも心が不安定だった学生時代、偶然出会ったその不安定な音楽を、四六時中生活に重ねることで均衡が保てるような、、そんな時代でした。
加速するデジタル化や孤立感、未来への不安に対して、彼らの音楽は、痛みや迷いを消すのではなく、その存在を認めるための居場所を作ってくれました。
音楽雑誌やレンタルCD屋で出会った曲たちは、当時の自分の心の揺らぎをそのまま映してくれる鏡のようでした。
60年代のオルタナの始祖とも言えるVelvet Undergroundから始まり、The Clash、Joy Division、New Order 、Television、The Smith、R.E.M、Sonic Youth、Pixies、Nirvana、My Bloody Valentineなどを中心に聴き漁り、2000年代に突入し、The Strokes、The Libertines、The White Stripsesあたりをシーンと共に一気に体験していった感じです。
同じ頃、日本でも新しい潮流が芽吹いていました。NUMBER GIRL、くるりなどは聴いていてとても元気になる音楽でした。変化球でYMOの音源やBOREDOMS、池田亮司さんなどなど実験的な音楽制作をしている方達の存在も友人に教わったりしていました。
夢中になるもの、ことに関しては勉強や生活のやるべき事よりも優先順位がでたらめになってしまう傾向は、恥ずかしながら今も続いております。
メンタルヘルスの領域では、私たちはしばしば「元気にならなければ」「前向きでいなければ」と思い込みます。しかし実際の心は、きれいに整列しません。焦りや不安、諦めや希望が入り混じったグラデーションのようなものです。音楽は、そのグラデーションを否定せず、むしろ大切な個性として寄り添ってくれます。
皆さんがこれまで夢中になったことや、現在夢中になっていることについても、お聞かせいただければ幸いです。

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